映画「ノマドランド」と原案本「ノマド〜漂流する高齢労働者たち〜」感想

エンタメ

アカデミー賞受賞でロングラン上映になった「ノマドランド」

外出自粛とはいえ、ソロ映画館くらいは楽しませてもらう!ということで、ゴールデンウィークは2本映画を観に行きました。

「ノマドランド」は予告編を観て気になっていたものの、家から一番近い映画館で上映が終了してしまって諦めたのですが、アカデミー賞を受賞したことで別の映画館が上映開始してくれて足を運ぶことができました。

しかもレディースデイで1,200円とお得に観れてラッキーだった♡

映画「ノマドランド」公式サイト

家キャンパー、バンライフに憧れる

にゃん連れ家キャンパー、防災の観点から車中泊にも興味がありまして。

YouTubeでバンライフを発信しているチャンネルを登録してウォッチしています。

映画の予告編を観たのも、そのへんのアルゴリズムでオススメ動画に上がってきたからだと思います。

興味を持つと調べたくなるのが性分。

映画を観る前に図書館で「ノマドランド」の原案本であるジェシカ・ブルーダー著「ノマド〜漂流する高齢労働者たち〜」を借りることができたので、野遊び読書や昼休み読書で読み終えました。

タイムラグはありますが、本と映画を比較しながら感想を書いていきたいと思います。

ネタバレになる部分もあるかと思いますので、ご注意の上お読みください。

映画ではボカされていた密林の闇

映画「ノマドランド」のあらすじを紹介します。

企業の破たんと共に、長年住み慣れたネバタ州の住居も失ったファーンは、キャンピングカーに亡き夫との思い出を詰め込んで、〈現代のノマド=遊牧民〉として、季節労働の現場を渡り歩く。その日、その日を懸命に乗り越えながら、往く先々で出会うノマドたちとの心の交流と共に、誇りを持った彼女の自由な旅は続いていく──。
ファーンを演じるのは、『スリー・ビルボード』で2度目のオスカーを手にしたフランシス・マクドーマンド。実在のノマドたちのなかにマクドーマンド自らが身を投じ、彼らと路上や仕事場で交流し、荒野や岩山、森の中へと分け入っていく。ジャオ監督と共に、ドキュメンタリーとフィクションの境界線を軽々と超えて、全く新しい表現ジャンルを切り開いた。(公式サイトより引用)

主演女優のフランシス・マクドーマンドが「ノマド〜漂流する高齢労働者たち〜」を読んで衝撃を受け、映画化権を購入。

映画の予告編で、アメリカの雄大な自然とキャンピングカーという圧倒的なビジュアルに撃ち抜かれて、バンライフの憧れと共にワクワクして本を読み始めたのですが、なかなかにショックを受けてしまいました。

日本もいずれは年金制度が破綻して、この本みたいに車上生活しながら日雇いバイトで食い繋ぐ老人が増えるかもしれない。

キャンプブーム、車中泊ブームは、美化するための事前プロモーションだったりして?

だったら早めに取り入れて家キャンパーしながらトレーニングしとくか、なんて笑

それはともかく。

本に出てくるAmazonや他の企業のキャンプフォースはけっこうブラック企業で、24時間体制の労働だの、サービス残業当たり前だの、勤務中に怪我をしたのに補償もされないどころか、休んだ分は給料も出ないとか…

訴訟も国と企業のズブズブで揉み消しっぽい表現とか…

己もリンク貼っといて何ですけども、通販で物欲撒き散らすのも、消費のための労働からも一抜けさせてもらおう!と決心するのに十分な描写がたくさんありました。

このへんの描写は映画では非常にマイルドで、仲間たちと笑いながら作業したり、キャンプ先の観光地を巡ったり、そこだけ切り取るとリア充シニアみたいにも見えました。

いずれプライムビデオで配信されるだろうから、やっぱり忖度あったのかな?笑

登場人物が主役2人以外はガチ御本人

これは本を事前に読んでおいて良かったと思ったところです。

ドキュメンタリー本を基に映画を作るのはよくあることだと思いますが、本に登場するバンライフ発信者の方々にそのまま出演していただいて、それがインタビューではなくて物語のシーンとして成立している作品は、なかなかお目にかかれないのではないでしょうか。

本で読んだ方々のお姿を(スクリーン越しでも)実際に拝見して、リアリティが一気に増して、その分、スワンキーさんの弔いの儀式は辛かった。。

エンドロールでは、役名と出演者名が同じなのがズラーっと。圧巻でした。

内側の安定が全て

この作品を読んで強く感じたことは「諸行無常」でした。

私の住む筑豊という街も、かつては炭鉱の街として栄え、社会の変化とともにシャッター街にまでなったことがあり、ファーンの置かれた状況に感情移入する部分があります。

それでなくても、昔なら「あの会社に入っておけば大丈夫。老後は安心」なんて言われていた企業でも、今は明日がどうなるか誰にも分からない状況。

外側に安定を求めても、そんなもの、もはやどこにもありません。

「家は心の中にある」という言葉が映画の中に出てきます。

「家=安定」と考えると、結局は自分の内側の安定が全て、とも受け取れました。

ファーンをはじめ、ノマドたちは世間体で言えば「底辺」の暮らしをしているかもしれませんが、みんな精一杯で、日々の不満を愚痴りながら繰り返しの毎日をダラダラ生きている人はひとりもいませんでした。

「安定」って、決まりきった所から動かないことじゃなくて、不安定に見える「変化」を楽しんで、バランスを取りながら心地良く(ここ大事!気を抜くとガシガシ赤目吊ってやっちゃうから笑)動き続けることなのだと思います。

「自転車操業」って、実は気持ちよくサイクリングしてる健康的な状態なのかも?笑

外側の何がなくなっても、自分自身で何かを生み出して生き抜いていける強さを身につけることが、これからの時代には必要不可欠だと改めて感じる作品でした。